鍼灸と腰痛
なかなか良くならない腰痛から、鍼に興味を持ったけど「鍼ってホントに効果的なの?」「怖くはないの?」と不安になる事がありますよね?
ご安心ください!あなたのその腰痛に対して、鍼灸がどのような効果を発揮してくれるのかをきちんと解説します!
多くの腰痛持ちの患者さんを見てきた私の経験と、科学的な根拠を織り交ぜながらご説明させていただきます。
鍼灸の腰痛に対する効果
腰痛に対して効果があります。鍼灸療法で有効性がある病気には、次のものがあります。
対応できる症状一覧
- 坐骨神経痛
- 狭窄症
- ヘルニア
- 慢性腰痛
- ぎっくり腰
- 分離症・すべり症
なぜ効果があるのか?
NIH(米国 国立衛生研究所)の見解として鍼灸療法の各種の病気に対する効果とその科学的根拠、西洋医学の代替治療として効果について有効であると発表しました。
注射や手術以外では、唯一体内へ直接刺激をすることが可能なのが鍼です!
ツボにも不思議な効果があり、手のツボで腰が変化したりと、脛のツボで便秘が解消したりと徐々に科学的な研究においても効果が証明されつつあります。
腰痛の症状別アプローチ
同じ腰痛でも、症状によって鍼灸のアプローチは異なります。
坐骨神経痛
坐骨神経とは
坐骨神経は人の体の中でも太く長い神経であり、お尻から太ももの後ろ側を通り、ふくらはぎや足先へと繋がっています。坐骨神経痛というのはこの神経の経路に沿って関連が生じる痛みの総称です。
なので病気自体を指しているわけではありません。
坐骨神経痛を引き起こす病気は様々ですが、腰部椎間板ヘルニア、すべり症、梨状筋症候群、閉塞性動脈硬化症、血管炎、脊髄腫瘍等様々になってきます。
鍼のアプローチ
基本的に神経痛は神経の経路が圧迫、牽引されていることが原因になります。
どの部分に神経痛が出るか、どの姿勢で出るかなどを判断し、原因となる脊柱(腰の骨)の周囲のツボや臀部、太もも、腰の筋肉を緩めるツボに鍼をします。
坐骨神経痛と同じよな経路に痛みを出すコリもあり、トリガーポイントと言われています。
これは「コリ」自体が痛みや放散痛(流れるような痛み)の原因になりますので、「コリ」自体が緩んでくると、神経痛のような症状が無くなることもあります。(そもそも坐骨神経痛ではありません)
腰部脊柱管狭窄症
腰部脊柱管狭窄症とは
脊柱管という腰の骨の中にある管が、骨自体の変形や靭帯が厚くなってしまう事によって起こります。
腰痛を訴える事は少ないのですが、臀部や脚が歩くたびに痛く成ってしまい少しの距離しか歩けない。けど休むと楽といった間欠性跛行という症状が代表的です。
前に屈んでも痛まないことが多いのですが、腰を反ると痛みや、だるさが強く出ます。台所に立っていると痛みが強く出る事もあります。
鍼でのアプローチ
狭窄症の症状の50パーセントはお尻のコリが原因です。まず、臀部の筋肉の緊張を減らす事を目的に鍼をします。
次に、腰の骨と骨の間の関節が狭くなっている事が多くあります。ここはふくらはぎや脚のツボを使いながら緊張を緩めていきます。
神経痛がしつこいケースは、脛や足首のツボに鍼を打ち、パルスという低周波を鍼に通し、脊柱管内の血流が流れやすい様にしていきます。これは東大病院の鍼灸科の研究を参考にしている施術法で、脊柱管内の血流が改善されることが確認されています。
腰部椎間板ヘルニア
腰部椎間板ヘルニアとは
腰の骨と骨との間にあるクッション材である椎間板から髄核というゼリー状の物質が漏れだしてしまい、神経を圧迫し、神経痛を誘発してしまうといった疾患です。
鍼でのアプローチ
このヘルニアですが、実は「腰痛」との因果関係はわかっていません。
ヘルニアと聞くとよく「治らないんじゃないか??」と不安に思ってしまう事と思います。
確かに手術が必要なケースもありますし、神経痛長く、ひどいほど時間はかかってしまいますが、良くなるケースも多いのです。
神経痛に対しては脊柱のキワのツボに対して鍼をしたり、臀部まわりや太ももの裏を緩めるツボを使い施術していきます。さらにたいていの場合は、腰をかがめると痛みが出てくる事が多いので、ふくらはぎのツボや、手のツボを使って改善していきます。
慢性腰痛
慢性腰痛へのアプローチについて
慢性的な腰痛の場合、原因は特に人それぞれ十人十色になりますので、よくお話をお伺いして日常生活に負担をかけていることがないかチェックしていきます。
腰痛の殆どは、非特異的腰痛と言って原因がはっきりません。慢性腰痛の多くは当然日常生活の負荷が何らかの形でかかっているのは間違いありません。
そして、慢性化してしまうのは、脳が誤作動を起こしてしまい、痛みを抑える物質が低下してしまう事にも原因があります。
腰がどの作業をして痛むのか?という点をよくみることで、鍼による緩和がとっても期待できます。
例えば、
前屈して痛む場合は手のツボに鍼をします。
反った時に痛む場合はふくらはぎのツボに鍼をします。
腰のツボ自体に問題がある場合は、腰自体のツボに鍼をし、動きやすさを獲得することで、慢性腰痛の改善をしていきます。
ぎっくり腰
ぎっくり腰と鍼でのアプローチ
ぎっくり腰は、あるきっかけによって急に腰が痛くなる症状ですが、詳しいメカニズムはあまり分かっていません。おおよそ患部の酸欠が原因ではないかという事がいわれています。
ぎっくり腰の患者さんを長年見てきた経験から、私は二つの原因があると思っています。
① 筋肉の痙攣
ひとつは筋肉(特に腰の骨付近にくっつく小さな筋群が多い)が攣った状態になってしまうケース。
これは比較的早期に回復するケースです。稀に仙腸関節といった骨盤周辺まで痛みを出してしまう事もありますが、筋肉に刺激を与えたり、手や足のツボに鍼を打ちながら、腰を少しずつ動かしていくと、その日のうちに動けるようになることも少なくありません。
② 椎間板の微小損傷
もうひとつは、椎間板という腰の骨と骨との間にあるクッションの役割をしているしている椎間板自体に何らかの原因で傷が入ってしまい、痛み、炎症が強く出てしまうタイプです。痛みが引くまでに少し時間がかかります。
かなり激痛を伴う事があり、この場合は患部に鍼をするよりも、炎症を抑えるツボを使ったり、肩周りの筋肉を緩めるツボを使ったりして痛みの緩和に集中します。
あとは固定していき、痛みが引く期間をなるべく短くして早期改善を目指します。
基本的にぎっくり腰は急性炎症を伴う事がほとんどです。炎症は受傷後48時間は炎症増殖することがあります。3日ぐらいから痛みが引いていき、1週間あれば重だるい腰痛くらいに落ち着てくる患者さんがほとんどです。
分離症すべり症
分離症・すべり症とは
背骨は、本体にある「椎体」と後ろ側の「椎弓」とで構成されていて、この「椎体」と「椎弓」が疲労骨折起こし、分離いた状態を「脊椎分離症」と呼びます。
椎間板や椎間関節が変性してしまい、腰椎が正常な位置からずれてしまうと「腰椎すべり症」と呼ばれます。
分離症はスポーツをしている10代に多いのですが、気づかずにスポーツなどをして、あとになって腰痛が起きます。
レントゲンを撮った時に指摘されることも多いことから、よほど炎症が強い状態の急性期でない限りは「痛み」自体は改善することが多い印象です。
鍼でのアプローチ
鍼でのアプローチは慢性腰痛やぎっくり腰と同様です。動きを確認して、その痛みとツボの因果関係を探して鍼をしていきます。
まとめ
今回は代表的な腰の疾患ごとに、鍼でのアプローチをまとめさせていただきました!
同じ狭窄症でも人それぞれ痛み方も性質も違いますので、あくまで参考程度ですが、しっかりとした検査、説明をさせていただき、なるべく体に負担が無いよう最小減の本数の鍼を心掛けております。
しかし、場合によっては多めの本数を施術したり、時には低周波治療器も使用したりするかもしれません。
今まで鍼をされたことが無い方は不安ですよね?痛みは極力無いよう、リラックスして受けられるようにしております。ぜひご安心ください!!